【2026年最新】口コミによる誹謗中傷への対処法を解説|削除依頼と予防策も紹介
「悪質な口コミが増えて企業イメージや採用活動への悪影響が心配」「これは誹謗中傷に当たるのか、どのよう...
自社や社員への投稿が誹謗中傷にあたるのか、どの時点で法的対応を取るべきか、判断に迷う担当者は多く存在します。基準があいまいなまま動けず、初動が遅れるケースも珍しくありません。
本記事では、誹謗中傷がどこから違法となるかの法的基準から、企業が取るべき実務対応の順序まで解説します。
読み終える頃には、自社に最適な対応フローを、自信を持って整備できるようになるはずです。
誹謗中傷はどこから訴えられるとは
誹謗中傷が法的問題になるかは、表現の内容や伝え方によって変わります。名誉毀損や侮辱罪の要件を押さえておくと、どこから対応すべきかの判断がつきやすくなります。
この記事でわかること
誹謗中傷が法的問題になるかは、表現の内容や伝え方によって変わります。名誉毀損や侮辱罪の要件を押さえておくと、どこから対応すべきかの判断がつきやすくなります。
名誉毀損は、公然と事実を摘示し、人や会社の社会的評価を下げた場合に成立し得ます。ポイントとなるのは「事実の摘示」「社会的評価の低下」「不特定または多数人が認識できる状態」の3点です。
たとえ内容が真実でも、ただちに適法になるわけではありません。ただし公共の利害に関する事実で、公益目的があり、真実性などが認められると違法性が否定される場合があります。
以下の3つがそろうと、名誉毀損と判断されやすくなります。
「この会社は不正会計をしている」と書けば、事実の摘示として受け取られやすく、信用低下につながり得ます。感想や意見の形であっても、事実の摘示とみなされれば、名誉毀損になる余地があります。
企業としては、事実を断定する投稿を見つけた時点で慎重な確認が必要です。事実の示し方と社会的評価への影響が境界線となるため、早期対応の検討が求められます。
侮辱罪は、事実を示さずに公然と人を侮辱した場合に成立し得ます。名誉毀損との違いは「具体的な事実の摘示があるか」という点です。根拠のない悪口や見下す表現でも、要件を満たせば違法になる可能性があります。
代表的な特徴は次のとおりです。
「社長は無能だ」「あいつは最低だ」などの表現は、事実を示さない軽蔑の表示として問題になります。内容が短くても、公開の場で相手を侮辱していれば成立し得るのが実態です。
近年は2022年(令和4年)の法改正により、侮辱罪に「1年以下の懲役や30万円以下の罰金」などが追加されて法定刑が引き上げられるなど、軽い気持ちの投稿では済まなくなっています。
企業の視点では、事実の有無にかかわらず評判を下げる投稿は放置できません。公開の場での軽蔑的な表現が境界線となるため、初動での確認と証拠の保全が大切です。
根拠のない嘘の情報を流して企業の信用を低下させたり、業務を妨害したりする行為は、信用毀損罪や偽計業務妨害罪という犯罪として訴えられる可能性があります。
たとえば、「この会社は産地を偽装している」「〇〇店は倒産間近だ」といった事実無根の嘘をネット上に書き込む行為がこれに当たります。
刑法では3年以下の懲役または50万円以下の罰金という重い罪に問われる規定が設けられています。
また、爆破予告のように業務を強制的にストップさせるような悪質な投稿は威力業務妨害罪となります。
こうしたケースは警察への通報や相談が必要な深刻な事態です。
従業員の個人的な情報や、公開されていない事実を無断でネット上にさらす行為は、プライバシー権の侵害として法律上の不法行為を構成します。
たとえば、社員の氏名や電話番号を勝手に公開し、「無能」といった暴言とともに匿名掲示板へ書き込むケースが該当します。
たとえその情報が事実であっても、通常は公開されたくない私生活上の情報を勝手に投稿すれば、慰謝料などの損害賠償請求の対象になり得ます。
企業としては、従業員を守るためにも被害状況を迅速に把握することが求められます。
投稿者に対して速やかに削除依頼や発信者情報の開示請求を進めることが被害拡大を防ぐポイントです。
書き込みサイトに悪口を書かれた場合の対処法については「[書き込みサイトへの悪口の対処法](https://net-fuhyohigai-taisaku.co.jp/column/writing-site/)」で詳しく紹介しています。
すべての否定的な意見が違法になるわけではありません。事実に基づく批判や意見表明は、表現の自由として保護される場面があります。問題になるかは、前提事実や表現方法を踏まえて判断されます。
判断のポイントは以下のとおりです。
「対応が遅かったので改善してほしい」という意見は、通常は正当な批判として扱われます。一方で「この会社は詐欺だ」と断定すれば、前提事実や表現次第で違法になる可能性があります。
企業側にとって大切なのは、批判と誹謗中傷を切り分けて考えることです。内容を冷静に分析し、事実に基づく意見か人身攻撃かを見極めることが求められます。表現が社会通念上の範囲に収まっているかが、判断の分かれ目になります。
ネット上の誹謗中傷は、投稿される媒体によって拡散の広がり方や被害の形が異なります。
ここでは、企業が巻き込まれやすい代表的な事例を媒体別に紹介します。
転職サイトや店舗のマップツールにおける口コミは、利用者の意思決定に直結するため、悪質な投稿が企業への大きなダメージを生じさせます。
ある歯科医院の口コミ欄に「ぼったくり」「詐欺行為をしている」という根拠のない嘘が投稿され、名誉毀損として発信者情報の開示が認められた事例が存在します。
また、転職サイトで「毎晩残業が強制される」などと虚偽の口コミを書かれた企業が、投稿者の元従業員に対して損害賠償請求の訴訟を起こしたケースもあります。
裁判所は会社の社会的評価を低下させるものと判断し、損害賠償の支払いを命じました。
X(旧Twitter)やYouTube、匿名掲示板などでは、匿名性の高さから過激な表現を用いた誹謗中傷が行われやすい傾向にあります。
実際にSNS上で医師に対して「ヤブ医者」「犯罪者」と投稿した人物が、名誉権などの侵害で損害賠償を命じられた事例が報告されています。
SNSでの誹謗中傷については「[SNS誹謗中傷の被害と削除依頼](https://net-fuhyohigai-taisaku.co.jp/column/sns-slander/)」で詳しく紹介しています。
また、匿名掲示板において、企業に対して「詐欺行為を行っている」と書き込んだ投稿者が特定され、慰謝料など240万円もの賠償金の支払いが命じられた裁判例も存在します。
このような媒体で投稿が拡散されると被害が急速に拡大するため、早期の法的対応が不可欠です。

誹謗中傷の影響は悪評にとどまらず、売上や採用にも波及します。拡散が進めば企業全体の信用が傷つき、経営上の深刻なリスクに発展することがあります。
誹謗中傷はブランドイメージを傷つけ、売上低下につながり得ます。消費者が企業の評判や口コミを購買判断の材料にしている以上、検索結果や口コミに悪評があると、購入前の比較段階で候補から外れやすくなります。
企業の売上に影響が出る流れは次のとおりです。
対応への不満投稿が目立つと、初めて利用する人はより不安を抱きやすくなります。その結果、競合他社へ乗り換える顧客が増える可能性が高まります。サービス業やECでは特に、検索結果や口コミの印象が比較検討に直結します。
単なる口コミと軽視しないことが肝心です。評判の低下は購買層の判断に悪影響を与え、誹謗中傷はブランド毀損を経て、じわじわと経営リスクへと変わっていきます。
誹謗中傷は採用活動にも影響を与えます。求職者が企業の評判を調べる手段が広がっており、口コミサイトや企業情報の閲覧サービスが応募判断の材料になっているためです。
採用に影響が出るポイントは次のとおりです。
「ブラック企業」「離職率が高い」などの投稿が目立つと、応募を避ける人が増えるおそれがあります。選考中に不安を感じて辞退するケースも出てきます。こうした積み重ねが、人材確保の難易度を上げる要因となります。
事実と異なる情報が広がる前に対応することが不可欠です。放置するとイメージが固定化され、回復には相応の時間がかかります。誹謗中傷は採用コストの増加や採用効率の低下という形で、じわじわと経営を圧迫します。
誹謗中傷は拡散されることで、炎上へ発展しやすくなります。SNSの仕組みにより短時間で情報が広がりやすく、感情的な投稿ほど反応を集めて拡散されやすい点が背景にあります。
炎上に至る流れは次のとおりです。
1件の悪評が共有され続けると、短時間で多くの人に届くことがあります。その過程で内容が誇張され、事実以上に悪い印象が広まることも少なくありません。公式対応が遅れるほど批判が積み重なり、収束が難しくなります。
初動対応の遅れは被害を拡大させる要因になるため、早めに状況を把握して手を打つことが不可欠です。拡散の速さそのものが、リスクの深刻さを左右します。

誹謗中傷への対応は、順序を間違えると後手に回ります。まず証拠を確保した上で、社内共有・相談・削除依頼へと進めれば、対応の精度が上がります。
誹謗中傷を確認した時点で、できるだけ早く証拠を残すことが大切です。投稿が削除されたり表示が変わったりすると、後から内容を示しにくくなります。
法務省は、インターネット上の誹謗中傷について、削除依頼の方法が分からない場合は「インターネット上の誹謗中傷書き込み削除依頼の手引き」や削除依頼メールテンプレートを確認するよう案内しています。発信者情報開示の手続きでも対象投稿を特定できる情報が必要です。
証拠として残したい内容は以下のとおりです。
悪質な書き込みを見つけても保存せずに放置すると、削除後に確認できなくなることがあります。画面全体を残して、日時やURLが確認できる状態で保存しておくと、削除依頼や相談の際に役立ちます。投稿の表示名や掲載先の名称も控えておくと、後の整理がスムーズです。
社内で発見した場合は、担当部署へすぐ共有するルールを整えておくと対応が早くなります。発見時の記録が、その後の対応すべての起点となります。
参考サイト:法務省:インターネット上の人権侵害をなくしましょう
削除依頼は、違法性と影響の大きさを見極めて判断することが大切です。削除の可否は内容や権利侵害の有無によって変わり、すべての投稿が削除対象になるわけではありません。
法務省は、削除依頼の方法を案内しており、事案に応じて法務局がプロバイダなどに削除要請を行う場合があるとしています。
削除を検討すべきケースは次のとおりです。
「この会社は違法行為をしている」などの虚偽情報が広がる場合、早急な対応が求められます。一方で「対応が遅い」などの意見は、ただちに削除対象になるとは限りません。権利侵害の有無と影響を冷静に見極めることが不可欠です。
判断に迷ったときは、弁護士や法務局に早めに相談しておくと安心です。影響の大きい投稿から手をつけることが、対応全体の精度を高めます。
参考サイト:法務省:インターネット上の人権侵害をなくしましょう
誹謗中傷への対応は、個人任せではなく組織として整備する必要があります。判断や対応が遅れると被害が広がりやすく、削除依頼や相談先の選定にも時間がかかります。
法務省は削除依頼の方法を案内しています。また、2025年に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」により大規模事業者には削除申出への迅速な対応が義務づけられました。
発信者情報開示や削除申出をスムーズに進めるためにも、対象投稿の保存手順や、社内外の相談窓口などを事前に整理しておくことが大切です。
準備しておくべきポイントは以下のとおりです。
監視と対応が別々の部署で管理されていると、情報共有が遅れます。役割を明確にして報告ルートを一本化しておくことが、判断を早める近道です。対応基準を事前に決めておけば、場当たり的な動きも防げます。
体制が整っている企業ほど、有事の際に迷わず動けるのが強みです。日頃の備えが、いざというときの対応力を決めます。
参考サイト:法務省:インターネット上の人権侵害をなくしましょう
誹謗中傷への法的対応は証拠保全が命綱。早期の行動が裁判の勝敗を左右します。
誹謗中傷は事実を根拠にした投稿でも、根拠のない悪口でも、法的問題に発展することがあります。放置すれば、売上や採用への影響は避けられません。
まずは証拠を残して、影響の大きさを冷静に見極めることが大切です。感情的に動かず、法務や広報と連携して対応を進めることが求められます。
社内ルールをあらかじめ整えておくと、いざというときの判断に迷いが出なくなります。早めの備えが、企業価値を守る近道です。
この記事のポイント
誹謗中傷を受けた被害者の住所地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所に訴えを提起できます。また、書き込みがあったサーバーの所在地の裁判所でも提訴できる場合があります。弁護士に相談して最適な管轄を確認することを推奨します。
発信者情報開示請求で相手の身元を特定すること、問題の投稿のスクリーンショットや公証人による証拠保全、具体的な損害(精神的苦痛・売上減少など)の立証が重要です。弁護士への早期相談が解決への近道です。
プロバイダ責任制限法に基づき、誹謗中傷の投稿者のIPアドレスや氏名・住所をプロバイダや情報流通プラットフォームに開示させる法的手続きです。2022年の法改正でより迅速に開示を得られる新しい非訟手続きが導入されました。
弁護士費用(着手金+成功報酬)・裁判所手数料・発信者情報開示請求費用を合計すると数十万〜100万円以上かかるケースが多いです。費用倒れにならないよう被害額・拡散規模・証拠の強度を弁護士と相談した上で判断することが重要です。
プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求でIPアドレスから氏名・住所を特定できる場合があります。海外在住の場合は国際的な管轄問題が生じますが、日本のプロバイダ経由の投稿であれば国内手続きで対応できるケースもあります。
株式会社ネット風評被害対策
代表取締役
内村 淳
大学卒業後、サッカー選手を経て、大手風評対策会社に入社。
3年半にわたりナショナルクライアントを含む数々の炎上事案・ブランドイメージ毀損対策に従事。
その後、ネット誹謗中傷対策に特化した法律事務所に1年間従事し、法的観点からの対応知見を習得。
IT技術と法的アプローチの双方に携わってきた経験を持つ。
現在は15年以上の経験とノウハウをもとにネット風評被害対策専門会社を設立。あらゆるネット風評被害対策支援に加え、企業向けコンサルティングや同業他社へのサービス提供も行う。
日々進化するAI検索エンジンのアルゴリズムを徹底解析し、AI検索時代に適応した次世代の風評対策に注力している。